「時を味わう」-丹羽恵理子

旅を終え、今また都会のビルに囲まれて時計を気にしながら過ごす日々です。あまりにも別世界にいたので、あれは夢だったのか?本当に野見山さんは実在していたのか?もはや怪しくなってきました笑

この世で唯一、全ての人に平等に与えられている「時間」。現代社会の中でせわしなく過ぎていく時間も、飯塚で過ごした時間も時計の針は全く同じはずなのに、こんなにも感じ方が違うものかと驚かされます。

飯塚での時間は、清らかで穏やかで本当に温かい時間でした。五感で感じる全てのものをひたすら取り込みたいと体の全てが求めているかのように、こんなにじっくりと光、風、音、草の香の一つ一つまで味わいたいと思ったのは初めての感覚です。

聴福庵の中庭、酒樽のお風呂、和楽での銀杏拾い、守静坊での座禅、徳積堂の壮大な景色…どこへ行ってもその感覚は変わりませんでした。なんて豊かな時間だったのか…

ここで過ごした時間は、日常の全てを手離して、時を味わう体験でした。

古めかしく造られた歴史体験アトラクションではなく、今の時代に甦生された本物に触れ、関わることで、自分の中の先人と繋がり内観する時間。

先人が積み残してくれた徳を使って、私達は生きている。ここに来ると、確かな感覚としてそれに気づかされます。利便性や即効性とは真逆にある丁寧な暮らしに豊かさを感じ、先人が見せたかった景色、残したかったもの、受け継がれた想いを、家中の至る所に置かれている炭や磨かれた柱、使い込まれた道具、季節の花々一つ一つに感じることができました。井戸水をいただく度に心の濁りが洗われるような感覚!私は今とても心が澄んだ良い人だと思います笑

野見山さんはじめ、徳積の皆様が私たちを迎え入れるための準備を尽くして下さったおかげで、いつの日か自分の人生を振り返る時が来たら、必ず思い出すであろう場所の一つになりました。

この旅で出会った方々や、大切な仲間と豊かな時間を過ごすことができ、本当に幸せでした。ありがとうございました。

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