「古きを知りこれからの伝統文化をつくる」- 岩永昌子

数年前から飯塚で古民家を再生している人がいると何となくは知っていた。
しばらくすると英彦山にある宿坊の屋根をトタンから茅葺きにもどすという。
本気の人のもとに私も行こうと思った。
それが野見山さんとの初めての出会いだった。
茅葺き屋根再生の場では大型トラックが入れない場所でバケツリレーのように茅を運び
いよいよ職人さんが屋根を拭き始めるとまだ長さがまばらな
茅を切って整えるという体験もさせていただいた。
こうして仕上がった屋根は昔は行われていたであろう、みんなで作った『結』の屋根だ。そして山の中にあるその場は、鳥の声をきき、緑や土の香りがし、
春になれば縁側から枝垂れ桜がみえる最高の『場』であり、
私にとっても大切な場所のひとつとなった。

再生された古民家にはいると身体が自然と落ち着く。
茅の屋根、木の柱、木の床。自然の中に居るのと一緒だ。
日本人がずっと暮らしてきた場所。
窓を開ければ、季節の花が咲き、鳥の声がして土や緑の匂いがする。
雨の日は雨音をきく。

現在の遮音、断熱優先のコンクリートのマンションでは五感が遮断されてしまうようで、どれもあまり感じられないものだ。
そこで育った感性はどうなるだろう。

今まさに感性を取り戻すためにも、そこに根ざし続いてきた人々の感性で育った伝統の文化や行事を真の意味で見直すぎりぎりの時期が来ていると感じる。

10年ほど前にある神社で神楽を作るということを経験した。
舞や道具、飾りにたくさんの意味があり、この地域の特徴や昔はどうであったか、
他の地域で今もつづくものはどうであるか本当の意味でその伝統や
文化と向き合うこととなり、集まった多くの人と話し合い作り上げていった。
新しいことを生み出すことはパワーが要る、けれど楽しい。
若いエネルギーはただただ守るというだけでは力が余る、
だから失敗を恐れず、だれもが創ることをやってみてほしい。

日本中に地域ごとに特色のある文化や伝統、行事が残るのは
その創る楽しさが残したものではないかと思う。

伝統は守り残しながら、またそれを元に創造して新しい伝統を創っていく。

野見山さんは伝統的な住まい、農業、行事、さまざまな古きを学び、磨き、今に合わせ蘇らせ丁寧に実践し一緒にその体験をさせてくれる。

先日も山の中にある弁天様へ続く参道を修繕すると声をかけてもらい参加した。
作業で道がきれいになっていく満足感もあったが、自然の中で珍しい鳥が現れたり、
話しながら作業するとあっという間で、休憩時間のお昼ごはんが何よりも美味しく、
座禅をし、何よりもここに来ると同志がいるようでほっとして、
心がいっぱいになり満たされ帰途についた。

興味ある活動があれば気軽に参加してみてほしい。
体験し経験したことで新しい一歩が踏み出せ
一緒に未来をつくる仲間が生まれることを期待する。

日本の伝統や文化の中には今では思いもつかない自然との共存やこれまで培われてきた知恵や豊かさが詰まっている。この活動が日本中で伝統をみなおし、また新たな伝統文化が生まれるきっかけになればと願いながら、野見山さんや意志ある人と未来と創っていきたいとおもう。

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